*ピエロの素顔/藤鈴呼
 
じゃ無いと告げて居たのに

真っ素ぐなままの沈黙が 長い夜 駆け抜ける度
やるせない程の激情が 此の身を 覆い尽くす

「お願い抱かないで お願いだから KISSをして」
一体どちらなの 問い掛けながらも 後ずさり

見えない 蕾のままのキツイ香り 僕も 動けない

「もうちょっと側に来て これ以上 逆らわないで」
乱れ気味の吐息にも 桜の息吹が 触れかかる春(とき)

河の向こうの 鏡の中の 知らない人間(ヒト)が 立ち止まる

目くばせしたままの 他人のフリの早朝と
幼な過ぎた 過去の夜(ともしび) 明るさには 追い付けない

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