創書日和「出会い。」/狠志
 
離れたくないといったのは、僕のほうで。

離れたいといったのは、君のほうで。

僕らの手は、最初っからみたいに。

空気を掴んでた。

離れたいといったのは、やっぱり僕のほうで。

離れたくないといったのは、気のせいで。

くっついていたのも、気のせいで。

空気を抱きしめた。

今度こそっていったのは、聴こえないように囁いた、
僕のほうで。

君の耳には、決して届かなくて。

届かなくて良くて、今、僕は確かに君の手を握ってる。





離れたいとは、もう言わない。

言わせない。


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