うでげ/捨て彦
 
私は昔から男の腕にもさもさ生えているあの毛が大嫌いなのであって、それは例えどんなに大好きな人のものであっても変わらないのである。しかしだからと言って、極力腕毛の濃い人は避けるとか、付き合ってから濃いことが判明して別れるとか、そういうことはしない。それは本人の人格とは無関係である。腕毛の有る無しによってその人への自分の態度がころころ変わるとかそういうことはない。私はただ、腕毛というものが嫌いなだけなのである。
今も阪神の選手の背番号を着て阿呆面をしながらテレビに釘付けになっている男の腕には、もさもさ、たっぷりとした毛が生えている。私はそれを見ると本能のままに腕毛をむしりとってやりたい衝動に駆られる
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