明日/たもつ
 
 
 
土曜日はいつも
草のことを考える
誰もいないのに
ハサミで紙を切ってしまう
 
 
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青空を両手ですくう
指の間からさささらと零れ落ちる
さっきから公民館の前で
人が笑ったまま動かない
 
 
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むかし友だちに教わった手話を
いくつか練習してみる
砂漠のただ中に置かれた
椅子にひとり座って


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空から拾ってきた月で
父が一輪車を作ってくれた
どっちが長生きできるか競争しよう
二人ともこれが夢だと知っているのに
 
 
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ピアノが海に沈んでいく
洗濯機がなくした部品を探している
「明日」という言葉が持つ嘘に
気づかない振りをしながら
 
 
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