シェドゥムのための習作/有末
不快な夢を見たから仕方がない、とシェドゥムは自分に言い聞かせて酷い有り様の鏡を眺めた。そして自らの寝不足を示すその悲惨な顔をではなく、閉め忘れたドアの先の暗がりが映り込んだタブローを凝視し始める。それは彼のいまだかつて成功したことのない呪文の詠唱であり、夢よりも意のままになるはずの記憶への没入であり、深刻な確認作業だった。彼は数えていく。降順に数えていく。いくつかの記憶に残る出来事をその数字に結びつけて。
やがて、右目は画が動いたことを彼に伝える。乾いた左目がわずかに濡れ、懐疑主義を気取る右眉が鷹揚に上昇し、唇はどちらに従うべきかを決めかねて、中立を決め込む。そして芝居は始まる。
なにかが
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)