おかしくて笑うと/たりぽん(大理 奔)
 
「今年はまだ、秋の夕焼けを見ていないね」と、
閉塞前線気味の雲を見上げながら
不満げに君はつぶやく

僕は天気に関しては
何の心配もしていなかったので
うん、と生返事をすると
君は不機嫌そうに
今夜のテレビの話をはじめる

そんな横顔に
ふと、赤く染まった空を思う

追いかけても、
追いかけても、
追いかけても、
追いかけても
遠くへ行くほど大きくまぶしくなって
ふっ と消えていく
暖かいままの光をばらまいて・・・


話していなかったかも知れないけど
君がそんな夕焼けになってしまうのが
怖かったんだ
ほんとうに、怖かったんだ


急に天気が気になった
自分がおかしくて
笑うと君は
ますます不機嫌になる
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