瞬き/薬堂氷太
 
灰色の道を 千切れた
白い線が 刹那に通り過ぎ

目で追っては 疲れた瞼を
こすりもせずに 遥か地上の
景色を見下げる

椅子に座った身体は
いよいよ速度を 上げていき
目まぐるしく流れる 景色は 瞬きするのも
惜しいほどに

大好きな曲が 知らない人が築き上げた景色に
躊躇なく溶け込んでいくようで

誰もかれもが 寝ている 狭い箱で

僕も 眠りに就こうと思っても

景色がそれを許してくれない

帰り道の話し

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