サンドリンク/秋也
目の前にいるあなたを見ているようで
私は遥か先の縁をジッと看ている
それは近い先であり
ずっと遠い過去でもある
繋がってしまうから
まだ体が在ったころ
「まったくキリがないよ」
お気に入りの台詞
最近はめっきり言わない
キリがなくて当たり前だし
終わりがきちんと
在ることがわかったから
脳と言えるか多いに疑問がある部位
目の前のあなただけを見るには
あまりに
情報や存在
勘と感が
引きちぎられたまま通された
電気コードのように
スパークしすぎる
右往左往
「ごめんなさいね」
あなたのことは見えているんだけど
「それ以上にね」
あなたの運んできたものが
どうしようないほど大きくて
愛せる者で
久しぶりに微笑んでしまうぐらい
「キリは来るもんだねー」
おいで坊や
そんなに泣かないで
私とたくさん話ましょう
恐ろしい砂に飲み込まれる前に
一匹の蛙が諦めたように
正座した私の膝頭を通り過ぎる
去る時
微かに鳴いた
「僕のが幸福を持ってこれるのに」
知っているわ
「本当に穏やかでいい日だこと」
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