ひかりに照らされた洞窟/吉岡ペペロ
 

留守電にいれるばかりになっていった
留守電までのコールのあいだシンゴの何かが傷ついていた
なぜかメールをする気にはなれなかった

ヨシミの誕生日のまえの日、シンゴはとりつかれたようにヨシミに短いメールを連打した
会いたい、からはじまって、オレは重い病気だからとか、ヨシミとの性的思い出だとか、呪いのような誹謗中傷、訳のわからない自慢話、・・・・
ヨシミのメールが容量を超えたようだった
送信してもあふれて受け付けられなくなっていた

翌日メールは着信拒否になっていた
電話はそうなっていなかった
さいごに話をしたとき

大丈夫だよ、あたし全然怒ってないよ、ヨシミにそう言われて
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