人差し指/Oz
夏のあの日、
僕らは海岸線を二人で歩いていた
僕はメソメソと泣いていて
彼女は導くように
僕の前を歩いていた
そして
僕らの手と手は
人差し指だけで繋がっていた
夏の夕陽を浴びていると
僕はあの日を思い出す
でも、
あれはいつの日の事だったか
隣では
娘が眠っている
海水浴の帰りの
電車の中で寝てしまったのだ
妻は
体調を崩し
入院している
夏休み中ということもあり
その間、
娘は祖父母の家に預けられていた
僕は仕事の合間を縫って
彼女に会いに行き、
そのまま
海水浴に出掛けたのだ
妻は
昔から体が弱い
免疫力が著しく弱く
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