夜/salco
 
かな重み
(私の掌と完璧な対を成す)
その優しい陰毛でさえも



 未明に在るもの

放たれた犬達の鳴き声が
遥かな野原で駆け回る
午前4時
夜の巨大なマンホールを筒抜けて
けれど犬達は北から南西へ駆け抜けた
望遠鏡を耳に当てても、
もう聞こえない
朝が白い薄衣を羽織って
眠れる草花を
濡らす迄にはまだ長い

星々の天蓋の下に夢は漂う
無数の規則的な寝息の間に間
伝説も
か黒い丘の足許にうずくまっている
子供達は、この時間は出払っている
みんなどこかで遊んでいるのだ
けれどもう何百年も若者達は眠っている
どこかの花のその下の、誰も知らない土の中
生まれなかった胎児のように
母の腕に抱かれもせずに

まだ明けぬか。
まだ明けぬぞよ、
東の扉はまだ開かぬぞよ。


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