布晒/
楽恵
囃子ことばを返してやる
潮水を掛けて
繰り返し繰り返し手で撫で付けて
御布の色艶は美しく
布丈も布巾もつりあっている
けれど娘たちの手元に残る布は一枚もない
布は首里王府から課された人頭税の
貢納品だから
手元に残る布は一枚もなかったが
渦巻く太陽の目のなかで
浜辺で布を晒す娘たちの姿は
永遠に焼きついて離れない
*沖縄県八重山諸島に伝わる古典民謡『布晒節』より
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