魚と皿と/
番田
パンを焼くと
私の体は 寂しい
パンが胃を満たすけれど
私だけは うれしくはない
私は 風車の 遠くで
小麦の匂いを嗅いでいる
釣れるポイントの遠くで
名前としてすら 忘れた
魚の跳ねる様子を想像する
フトンの中で 一日が終わらない
日の出の太陽など 見なかった
私は営業マンだった
一日中かけずり回っても
部屋に帰ることはできないけれど
私は意志を曲げることなく
部屋に 帰る
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