魚と皿と/番田 
 
パンを焼くと
私の体は 寂しい
パンが胃を満たすけれど
私だけは うれしくはない

私は 風車の 遠くで
小麦の匂いを嗅いでいる
釣れるポイントの遠くで
名前としてすら 忘れた

魚の跳ねる様子を想像する
フトンの中で 一日が終わらない
日の出の太陽など 見なかった
私は営業マンだった


一日中かけずり回っても
部屋に帰ることはできないけれど
私は意志を曲げることなく
部屋に 帰る
戻る   Point(0)