廻る/Oz
 
アナタはペチャクチャとよく喋る
結局何が言いたいのかよくわからない
きっと尊敬されたいのだろう
いや、喋ることが気持ち良いのだ
どっちでもいいから
少し黙っておくれよ

魚の尻尾の波に乗る
乱れる廻廊
揺れる火影
葵が栄えては
哀しみに暮れる
女の面は
不気味なものとして
より際立つ

季節は春
花が芽吹き
何かの始まりを予感させる
魚はその尾に自信があった
だからこそ
目の前の餌は本物であると
疑いの余地は無かった
「自分はこんなにも立派な尾を持っているのだ」

般若は葵をむしりとっては
口に含んでいった
淡々と咀嚼し
地面に吐いた
視界
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