憤る/瀬崎 虎彦
 
夏が映り込んだ幻想の裏庭で
ちいさな手のひらをむすんではひらいて
なにを探していたのか なにを見つめていたのか
午後の太陽はコンクリートを熱する

やがて沈黙がやってくるなら
なにも悲しいことはなくなるからねと
誰かが教えてくれたのか 自分で気がついたのか
それとも慰めなど初めからなかったか

再び死の充満する冷たい未練の箱の中
草が侵食して凶暴な緑に侵されて
人間が消えてしまえばいい

せめて願う言葉を抱いて眠れ
残酷は残酷の海に澱み還ることがない
二度と水面に浮かびあがらせてなるものか
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