息を吐く/黒木みーあ
産声を上げない朝には
季節が
芽吹くことはなく
寄りかかる砂壁に
忘れてしまわないようにと貼り付けにした
思い出の四隅ばかりが
色褪せていってしまった
ぽろ と、畳の隙間には
どうしようもない程の砂粒
が散乱していて
わたしはほんとうに
ほんとうに
どうしようもなくなってしまう
から、
夕刻
にいつもわたしはひとり彷徨って
辿り着いたところで今よりも
少しだけちいさく丸くまるまりながら
息を 吐いている
ふー
と、陽が
地球の裏側に
落ちていくまで
息を 吐いている
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