もう会わないから言うけれど/
因子
とうとう一度だって
私を嫌いだと
言ってくれなかった君に
私の一部はまぎれもなく
深く、君由来だという事実の
どうしようもない申し訳なさに
あの子が初潮を迎えたときに、
心の底から嬉しそうに
「おめでとう!」と言った笑顔を
まだ消化できていないのです
ほんとうは君は
私を嫌いだとちゃんと言ったかもしれないけれども
私のなかに
そういう君が居ないのです
私が初潮を迎えるころ
違うクラスの君はやっぱり
自然っぽく笑う女の子だった
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