洞窟の夢/吉岡ペペロ
らなんて、
ひどいこと言わなきゃ別れられなかった
さよなら、さよなら、
ぼくはふせた目をあげてヨシミに合わせようとした
あれ、どこにもいない、向こうの信号にも、ヨシミの家のほう?
いない、見えない、電動だ、電動自転車のせいだ
ぼくはふつうの自転車のイメージで目をあげていたのだ
さよならぐらい、ひどい仕打ちだよ、
あれからぼくは、洞窟のなかを、胸の内に飼うことになったんだ
優しい言葉かければよかった、電話しようか、なんで?
別れるんじゃないのか、さよなら、さよなら、ひどい言葉だ、なんでオレがあいつ、傷つけなきゃならないんだ、
電動自転車のせいだ、油断していた、
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