アルバムの風景/
番田
父に会うといつも
私は刺身になっている
ワサビをなめると
高らかな笑いをする
母の姿を追いかけては
私はアルバムをめくり
母の顔を見つめていた
夕暮れの路地裏の影から
鳥の一羽がはばたいた
父の横顔を思い出した
ベンチの隅っこから
飛び交うエサに目眩がする
子供の頃の私は見た
夢のひとつすらなく
祭りに出向いては
未来をまぎらわせて
戻る
編
削
Point
(0)