道切り/春日線香
 
女が鳥居で首を吊っている
わたしはそれをくぐって行かねばならない

ふらふらと風に揺れる足を押すと
垂れた髪の間から睨みつけてくる

おれはここで道を切っておるのだ
おまえは何の因果があるのだね

わたしは答えられないでいる
たぶん何かの用があって行くのだ

ほんとうに大したことではないのだけれど

もしもわたしが墓穴を這い出た
魔物であればどうなるだろうか

暗くなりまさる空に
目玉のような星が光っていて

鳥居に女が揺れている
背中をつーっと汗が流れる
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