「従順な正解」のためのデッサン/草野大悟
それは、うす紫色に、妖しく 輝く。
静かな夜でなくてはならない。砂糖と塩とに出会うのは。
シーン と、音のする満月の夜なら、なおさらいい。俺たちが、狼そのものになる満月の夜、
砂糖と塩は
白い皿に盛られて
俺たちの前に現れるのだ。
それは、幻かもしれない。しかし、確かに、真っ白い磁器に 真っ白い砂糖と塩とが盛られて、生け贄のように俺たちの前に出現するのだ。
俺は、知っている。どちらの皿が砂糖で、どちらの皿が塩かなど、とうに。
それは、うす紫色に輝くことを、秘やかなヒントとして、ここに提示しておこう。
白いテーブルに ふたつの白い皿。それらの中に あくまでも
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