ふるさとではきこえない/
たりぽん(大理 奔)
記憶は
思い出に似ていて
にどと戻りはしないのに
私の体を小刻みにふるわせる
港町の風景が逆光の影のように
寒くてしょうがないのはきっと
季節を呪った
ブランコのせい
吹きかけた息のぬくもりを
手のひらに感じたいのだけれど
少しだけつぶやいてみた君の名前は
凍ってしまって
誰にも
聞こえなかった
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