この街/……とある蛙
 
開け放たれた窓からは
初夏の高台から望む
雨上がりの小さな街が一望出来る。

マッチ箱のような小さな家には
色とりどりの屋根が
張り絵のように
斜面にへばり付いている。

空は真っ青ではあるが、
垂直の奇妙な虹のまわりに
ぽっかり白い雲が浮かんでいる。
白い雲が浮かんでいる。

雲はふわふわと漂っているはずだが
窓から見た雲は静止していて
小半時も経てばどこぞに漂っていくか
チリジリになって消えて行くか
あいまいに浮かんでいる。

今僕のいる 窓のある家も高台に有り、
窓の下は崖っぷちの斜面。

遠くから見る街はあくまでも愛らしく
誠実だ

耳を
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