熱帯/捨て彦
 
も通ッとるわ。マァ、認知せなアカンけどな。したろか?……キミ子は喜ぶやろなァ」
「…………………………………………………」
「………………ちゅうか、キミ子はまだ帰ッてこぅへんのかいな。………アーァ。……ここでずッと待ッてても退屈やしのう。……お前もギャーギャーウルサイし。…………マァ、また改めて来るかなァ。………よッしゃ。ほな、今日は帰るわァ」





男は灰皿にタバコを押し付けて立ち上がり、ノロノロと玄関から出て行く。
少年は壁にもたれたまま、しばらく呆然としている。





それから十分程して、入れ違いに母親が帰ッてくる。





「……ただいま
[次のページ]
戻る   Point(3)