熱帯/捨て彦
 



真夏、うだるような暑さ。
ひしめくように並ぶ文化住宅。
その中の一つの棟に用件があると思しき一人の男。
年は四十をちょっと過ぎたくらい





「ごめんよォ」
「………。 ………」
「オーイ。誰も居てへんのかー」
「……………………………」
「……………。よっと(敷居を跨ぐ)ほなちょッと、勝手に入らしてもらうでー。……おーい、キミ子ォー」





奥から出て来た少年。
年は十四五。





「…………………。………………………」
「……お、ケンジ、お前おったんか」
「…………………。…………………」
「………。……なーにを
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