夏を蒸らす、わたしの/
あ。
すぐに駅が見えてくる
その頃には、わたしの身体は水滴でいっぱいになる
足元に落ちているのは、きっと紫陽花の花びらだ
昨夜の雨に打たれて
その上多くの通行人に踏みつけられたのだろう
アスファルトに溶け込もうとしてるかのように
薄くなってべっとりと張り付いている
日差しはぐんぐんと強くなっている
紫陽花よ
季節の欠片よ
おまえもじきに、蒸らされるだろう
夏の日々に、鮮やかな気体となれ
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