海という洞窟/吉岡ペペロ
アヤコがまた背伸びのそぶりを見せた
なにかじぶんが感じたことを言うときいったん海上につきでる潜望鏡
そんなふうにアヤコの癖をシンゴは思っていた
でもアヤコにそれを言ったことはない
なるほど、記憶だ、記憶がこころなんだ、記憶ってこころだよ、
おっ、オレ、なんかヒントあたえちゃった?
職場にもどり事務作業をした
旅行会社の仕事ってのはなあ、新人のころよく先輩に言い聞かされていたことがシンゴの仕事の指針だった
日程の瞬間瞬間が納期なんだよ、これがお客さまとの約束なんだ、言い換えると、僕たちは納期がぜったいの仕事ってことなんだ、
この仕事は添乗員がなにも考えなくても
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)