ハナムグリ/
たもつ
最終バスの斜め前の席
緑色のハナムグリが一匹
青いシートにしがみついている
埠頭から乗車してきたのだろうか
もしかしたらずっと前から乗っていて
既に何往復かしているのかもしれない
窓の外、二十四時間営業のお店が白く発光して
数名の人が
買い物のようなことをしている
始まりが無ければ終りも無い
でもそれは永遠とは程遠い
花があるかわからないけれど
ハナムグリと私を乗せて
最終バスは
わたしの中へと帰っていく
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