詩人/靜ト
母の日に
小さな手で紙粘土とビーズのネックレスを作ったのだけれど
釣り糸のようなプラスチックの糸で作ったから
「それじゃあ、首が切れてしまうよ」
と父に怒られたのだ
今ならもう傷付かない
稚拙でちゃちな思い出
それと似たような不格好なアクセサリーをつけた女の人が、泣きながら
「どうして生きなければならないの」
と喚いていたけれど
馬鹿だなあ、と
少し可笑しくなる
死ぬためには、生きなければならないでしょうに
不幸をかき集めて、同情を貰う人は大嫌い
それを悟られないように、同情を拒む人はもっと大嫌い
けれども、ねえ
詩人はメタして、詩を恥じなければならないジレンマの中で
どうしてこうも
美しいことよりも、かなしみを描いてしまうんでしょう
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