音のない洞窟/吉岡ペペロ
 
歩道を小走りでわたりごみ箱につっこんだ
そしてゆっくりとフーガに戻りながらそとに雨の音をさがしていた

音がなかった
音とは切り離されていた
それが洞窟の特長のひとつかも知れなかった
もしこの世に孤独というものが存在するならば、・・・・

でも、こんなの、生きてることには関係ねえな、

思考をストップさせてシンゴはフーガに乗り込んだ

あ、買い物すんの忘れてた!

すぐさまエンジンをきると気味がわるいほどの無音が訪れた
そしてシンゴはそこにぽつねんと浮かんでじぶんのことをはじめて孤独だと思った

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