ない/
寒雪
ぼくには右腕がない
好きなシチューを食べるのに
不便で仕方がない
ぼくには左足がない
好きなサッカーが出来なくて
歯がゆくてじっとしていられない
ぼくには光がない
好きなエレナがわからなくて
悲しくて泣くしかない
ぼくには両親がない
好きな子守歌が聴けなくて
温もりが欲しくてたまらない
残った耳には
低い地鳴りとともに
悪魔が呪いの咆哮を
まだぼくから
なにか奪う気なの?
戻る
編
削
Point
(1)