地デジ対応/木屋 亞万
あさ起きて、いつものように眼鏡をかけた
しかし何も写らない
眼鏡が写らないと何も見えない、
それは識別不能の抽象画の世界
超印象派な日常
ベッドサイドで頭を抱えていたら
妻が起こしに部屋へ来た
「どうしたの?具合悪いの?」
「いや、何も見えないんだ」
「それは大変じゃない?目の病気かしら」
「いや、むしろ眼鏡の具合が悪いようだね」
「あ!その眼鏡もしかして地デジに対応してないんじゃないかしら」
妻はそういうと相談の電話をするためにどこかへ行ってしまった
眼鏡を外してもぼんやりとした世界しか見えないので
眼鏡をかけたままじっとベッドに腰掛けている
目の前が真っ暗
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