血縁/朧月
 
あなたが一個の人間だと忘れてしまっていた
あなたが 私の延長線上にいるように感じてた

母は私をいつも当たり前のように
呼べばくるものと思い込んでいた 

父は私の前にずっといなくて
私と同じ部屋にいるときでさえいないのだった

あなたが一個の人間だと忘れてしまっていた
あなたが 私の延長線上にいるように感じてた

家は箱に思えて
家族は錘に思えて
言葉は棘に思えて
息を吐くのがつらかった

あなたが一個の人間だと私をみていたなら
はやくに
私はなにか違っていただろうか

あなたが私の延長線上にいる
血の上では当たり前に


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