夏空の下で夢をみる/かんな
約束の場所を忘れてしまったのだと
忘却をたぐりよせる日々が続いている
わたしも、あなたも、
同じとはいえない、似通った部分を共有しているだけで
帰省本能さえも持ち合わせていなくて
ひとつの寄り添う居場所を持つこともしなかった
やさしさの根源をさかのぼったときに
あなたを見つけられないと悲しむのはエゴだろうか
さびしさの群れを飼ってしまうひとは
孤独ということばをしきりにコップに注いでは飲む
暑い夏の逃げ水のような存在は
潤いを与えながら、わたしに渇きを覚えさせる
指切りはやさしい頬への接吻のようで
あいまいな恋とも愛とも呼べない目的地には
いつか辿り着け
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