窓際・抜粋/はるな
窓のこちらがわには 窓枠と わたしがあり
窓のむこうがわには 「遠く」が散らばる
「遠く」は みわたす限りに遠く
わたしには ただ罪があり
灰色の部屋には ドアーがない
わたしはいま 新しい窓のまえにたち
窓のむこうがわには 相変わらず 「遠く」だけがある
窓のこちらがわでは ついにドアーが形なくさびついて
せかいはいつまで経っても わたしから遠く
あらゆるわたし自身も わたしから遠く隔たり
気づいたとき わたしの前には
窓枠と 現在だけが 音もなくよこたわる
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