雨の音/八男(はちおとこ)
雨の音とひとつにならなければ
そう思って2階で浮かんでいた
梅雨の2階は熱気でいっぱいだ
2日に1回はムカデが出る トイレに流す
頭は爆発寸前の気球のようだ
雨の音とひとつにならなければ
ピアノの音が1階から聞こえる
侵入しようとしていたムカデはびびって外に
雨の音
窓を開けても熱気は逃げ切らない
雨の音とひとつになれているのか
なれていないのか
なれているとも言えないし
なれていないとも言えない
熱気で揺れている私の頭のように
雨の音になれているのかなれていないのかが揺れている
しかし近頃は
ひとつにならなければならないという気持ちが
だんだん湧かなくなった
この 雨の音が好きだ
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