多忙な週末/ホロウ・シカエルボク
 



雷光が俺の胸骨を遊ぶように這うのさ
叫び声は不遇な路地裏に捨ておかれ
雨雲に浸食された魂を救いだそうとポケットの奥深くをまさぐると
黄色く日焼けした汚れた名刺が一枚
記されていたのは14番目に生まれた悪魔の名前だった
もっとも気恥かしいものを晒して愛と名付けよ
指の腹に深く刺さった棘の痛みのような思いを
まだ夢と呼ぶ厚かましさがあるのなら
名刺の裏には冴えたフォントでそう記されていた
近頃じゃ誰もが趣向を凝らす風潮らしいぜ
昨夜この部屋のドアを間違えて叩いた
飲み過ぎた若い女だってそんなことを呟いていた
目覚まし時計の恩恵の裏には容赦なく
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