手のひらの中の午後/ベンジャミン
 
陽だまりの光をあつめて
手のひらですくうようにしたら
伝わってくる温もりが
静かにあふれていた

あなたはいつも
そんな仕草を当たり前のように
僕に見せてくれる
見えないものを見えるようにして
僕に教えてくれる

僕はいつも
あなたから教わってばかり
このあいだは流れるように揺れる髪で
自由な風とたわむれることを
つま先でステップを刻んで
足もとにいる小さな命を
僕に教えてくれた

あなたには
そんなつもりはないのかもしれない

けれど
今もそう

あなたの手のひらにとどまる
小さな時間の中で

普段は知ることの出来ない午後を
僕は眩しく感じている
戻る   Point(8)