手のひらの中の午後/ベンジャミン
陽だまりの光をあつめて
手のひらですくうようにしたら
伝わってくる温もりが
静かにあふれていた
あなたはいつも
そんな仕草を当たり前のように
僕に見せてくれる
見えないものを見えるようにして
僕に教えてくれる
僕はいつも
あなたから教わってばかり
このあいだは流れるように揺れる髪で
自由な風とたわむれることを
つま先でステップを刻んで
足もとにいる小さな命を
僕に教えてくれた
あなたには
そんなつもりはないのかもしれない
けれど
今もそう
あなたの手のひらにとどまる
小さな時間の中で
普段は知ることの出来ない午後を
僕は眩しく感じている
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