歯車/佐藤伊織
 
バイトの面接にいった。それだけで脳から鉄の匂いと鉄の味がするくらい疲れた。実際今もさびついた鉄の歯車が俺の脳内をギシギシいいながら回っている。そういえば俺は今生きてるだけで疲れているのだった。みんな軽々と乗り越えていくようにみえる障害の一個一個に俺はつまづいてしまう。つまづくたびに涙をポロポロと流す。俺はしくしくと泣くものだ。みんなどこかへ行ってしまう。誰も振り返りはしない。力強く伸び伸びと息をする。恐いものや未知のものへも果敢に挑戦していく。俺がただ不安でしくしくと泣いている横で着実に一歩一歩歩いていく。俺のさびついた歯車はもう限界にきているかもしれない。廻すのもさすがにもう疲れた。そして俺の歯
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