梅雨に咲く花のように/
中原 那由多
神経衰弱をするようにまばたき
目の前に現れて欲しいものは綺麗な嘘
期待するほど息苦しくて
油断するほど手にすることができない
空白で寝て起きてを繰り返して
やはりデジャブという過ちを探してしまう
公団住宅に隅へ追いやられた紫たちは
雨の降る場所ならどこでもかまわないらしく
すれ違いざまに故郷を思い出させてくれた
一つが埋まれば一つが欠けるけれど
一つが欠けても一つは埋まらない
それを補うことが自由の責任か
戻る
編
削
Point
(6)