梅雨に咲く花のように/中原 那由多
 


神経衰弱をするようにまばたき
目の前に現れて欲しいものは綺麗な嘘

期待するほど息苦しくて
油断するほど手にすることができない
空白で寝て起きてを繰り返して
やはりデジャブという過ちを探してしまう


公団住宅に隅へ追いやられた紫たちは
雨の降る場所ならどこでもかまわないらしく
すれ違いざまに故郷を思い出させてくれた

一つが埋まれば一つが欠けるけれど
一つが欠けても一つは埋まらない

それを補うことが自由の責任か



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