梅雨に咲く花のように/中原 那由多
 
光を切り裂いたカーテンの色は青く
寝癖はやっかい、目が腫れぼったい
母親が漕ぐ自転車の後ろにしがみつく派手なズボンの幼稚園児が
男の子なのか女の子なのか判別できない
それを何気なく追い越してみた時に

不意に夏の匂いがやってきた


屋上、窓、霧雨、白い無機物は今日も笑わない

落書きの中に隠した本音が
次に目を覚ますのはいつ頃か
前の席に座る男は自分の背中に書かれた
「BATTLE FIELD PHOTOGRAPHER」 の意味を理解していなさそうだから
サイゼリヤの壁の天使と同じ表情になっていた


同一視、赤のテレキャスターは
ひずむ決断を感電させる

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