都市風景(61〜80)/草野春心
 
  

  61.

  半規管の殺風景
  宇宙を感じ
  宇宙に感じられること

  62.

  包帯を巻かれたマイクロフォンで
  肋骨にヒビが入った空気を震わす

  63.

  退屈を重ねて我々は何処へ行くのか
  我々を重ねて歴史は何処へ行くのか

  64.

  ところてんのように生まれ
  ところてんのように死んでゆく僕たち
  ぬるぬるした悲しみの残滓さえ
  誰かに舐めとられてしまう

  65.

  どこかで
  いっせいに
  窒息してゆく金魚たち

  66.

  ひと粒ひと粒が呻くような汗を纏い
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