逆上がり/殿岡秀秋
小学校の体育の時間に
逆上がりができなかった
隣りの席の女の子が休み時間に
鉄棒をしにいこうと誘ってくれた
ぼくらは二人で
校庭の隅に立つ鉄棒に向う
鉄棒は低いのから
順番に高くなっていく
ぼくら二年生は一番低いものから
二番目の鉄棒につかまった
ふたり並んで鉄棒をにぎった
足をあげるが
空中でとまって落ちてしまう
休み時間のたびに
ふたりで鉄棒をした
ふりあげた腿が鉄棒にふれるようになる
やがて鉄棒に腿のつけねが
からむようになる
もしかして
もっと勢いよくふりあげたら
逆上がりができるのではないか
太腿のつけねが
鉄棒にのるには
地
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)