都市風景(41〜60)/草野春心
41.
光のうちに
五つどころか、六つも八つも
感覚は踊り
誘う
42.
空き缶の塔に住む五十七歳の老人
43.
失敗した才能の成れの果てが
高層マンションのベランダで
物干し竿に並んでいる
赤 緑 青……
それを洗う
あか切れした寡婦の手を僕は思う
皺の一本一本まで克明に
44.
放課後の体育館でバレーボールが
様々なかたちの叫びを孕んで
いまにも破裂してしまいそうだ
寧ろ謙虚な空間は
そのカタストロフを予期して
耳を塞いで忍び
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