まずまず/ホロウ・シカエルボク
 



リアルの始まりはいつだって白濁に過ぎない、毛髪の根本に仕込まれた飛び道具がわずかに余計な色を添え、36度あたりの赤い水力がタービンを回し始める…ハロゲンライトの灯りはまるで、ちょっとくらいの感情なら眉ひとつ動かさずに焼き尽くしてしまえそうに眩い
膝が破れかけたデニムに脚を突っ込んで、ポンコツが摂取するに相応しいガソリンを物色するべく表通りへ出た、雨が降り続く毎日に雨雲すらもううんざりだという顔をして空で低くうなだれていた、今日はまだ地面は濡れてはいないけれど、いっそ濡れていてくれた方がマシだというほどに湿度は高く、もうそれは少し固体化しているんじゃないか、なんていうおかしな考えを脳裏
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