山/伽茶
 
昔はね、いつも刺激を求めてた

あの子よりは

あの時よりは

なんて意気がって

常に高く跳べるって

地に足がつくのが勿体なく思えてた

高く跳びすぎて

足場がないことに気付いたら

安定ばかりを探し求めて

地面に這いつくばって

何かを探すんだけど

背中に真っ青に晴れた空があることすら忘れてる

ぽつりぽつりと落ちる冷たい雫に気付いた時には

お日様を探したくなったんだけど

まだ当分晴れそうにもないな…

いつからか

私は森に魅せられるようになった

木々が揺れてるとわかるのは

音に教えられ

漠然とある緑は

緑だけじゃない

失った緑を待って恋い焦がれる楽しみも

そこにある当然はあっさり失うことも

素直に受け入れられた

雨上がりの緑は

キラキラ光るんだ

生きるって

そんなもんだと

すんなりと教えられた気がするんだ
戻る   Point(1)