視る/Oz
 
踏切の向こう側
アイツが立っている
銃の形に手を作り
人差し指をコメカミにあて
ぐりぐりと
押し付けている
笑いながら

アイツは
高校の頃の同級生で
卒業して以来
会っていない
大学に入ってから聞いた情報と言えば
クラブでDJを始めたということくらいだ

親しい訳では無い
特に遊んだ記憶も無い
ただ
音楽において
僕はかなり突飛な物が好きなのだが
彼だけはその感性をわかってくれた

そのことが
僕にとって
大きな比重を占めている事は
自分でもよくわかっている
アイツはあくまで端的な存在だ
しかし
そんな大したことない者に
身を任せていると
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