糸電話/天野茂典
 

 ちいさくなって
 ネオンのようなふるさとへ
 (枯枝ばかりかもしれないじゃないか)
 きりきり
 きりきり
 縮みながら
 いちまいの鴉
 が血をはきながら
 繊毛のように
 波だった海の粒子を
 嗅ぎ
 しどろもどろに
 (もう呂律もまわらなくなって)
 霧のように消えてゆく

 ばあかなやつだ
 お前は振られたりしたんじゃない
 愛されているのだ
 なんどもメールが入るだろう
 お前の羽は温かく抱かれているのだ

 そうさ 彼女は
 お前のげろもかたづけて 抱きしめたんだ

 帰ってくるな!いちまいのげろ・・・・・



                 2004・10・11
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