宇宙のものまね(2)/吉岡ペペロ
って、愛より弱いのか、
ヨシミはなにも考えなかった
カワバタの言葉を考えないことがはじめてのような気がした
カゴのなかの花を見つめていた
お花は宇宙のなにをものまねしているのだろう
ヨシミはカゴからなんでもバッグをひっぱって、そして中からサンドウィッチを取り出した
ラップでくるんだふたつぶんのひとつをカワバタにあげた
それを立ったまま黙って食べた
トマトにパセリと粉チーズをふりそれをトーストにはさんで焼いた
鼻がつんとしてしびれていた
手首でなみだをぬぐいながら
カワバタとサンドウィッチを食べるのはこれがさいごになるのかも知れない、と思った
ふたりがまた歩きだし
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)